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[NPT準備委] 核保有国が軍縮の意志を 議長のアジュマン国連常駐代表に聞く

勧告採択へ努力

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会で議長を務めるガーナのハロルド・アジュマン国連常駐代表が25日、米ニューヨークで中国新聞のインタビューに応じた。核軍縮を巡る核兵器保有国と非保有国の対立が深刻だとして、「核軍縮を進める政治的な意志」を核保有国に求めた。(ニューヨーク宮野史康)

 ―核兵器を巡る国際情勢をどうみていますか。
 米国とロシアが世界の大半の核兵器を保有し続けている。また、新たに核兵器を保有しようとする動きや核の脅しの正当化を非常に懸念している。廃絶への道筋は見えていない。しかし、国家間の緊張は、核軍縮を遠ざける理由にはならない。人類の存続のためには核軍縮が必要だ。核保有国に核軍縮の実行を求めたい。

 ―核兵器禁止条約は分断を生んでいますか。
 禁止条約の加盟国は核兵器を持たないという約束をしており、国際社会の安定に貢献している。核保有国が核軍縮を進める政治的な意志を示せば、非保有国との分断は乗り越えられる。

 ―日本政府主導の国際賢人会議がまとめた提言の受け止めは。
 貢献に感謝したい。核軍縮に関する国別行動計画は、NPT体制を強化する提案だ。核保有国が説明責任を果たせば、非保有国の信頼を取り戻せる。報告の様式に合意できれば大きな前進だ。

 ―議長として何を心がけますか。
 素直で建設的な対話を促すのが一番の役割だ。来年の再検討会議に向けて、勧告を全会一致で採択できるように努力したい。過去に達成できたことがないからと諦めてしまっては試合終了だ。

Harold Agyeman
 1971年ガーナ・アクワティア生まれ。駐インド副大使や外務省総務局長を経て、2021年から国連常駐代表。

(2025年4月27日朝刊掲載)

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