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日鉄呉跡地の防衛省案説明会 初の住民向け 質問相次ぐ 雇用規模や安全性問う声

 呉市の製鉄所跡地に複合防衛拠点を整備する防衛省案について、市が24日夜に開いた初の住民説明会。市民205人が詰めかけ、市の将来を左右する跡地活用についての関心の高さを裏付けた。約70分に及んだ23人の質問は、地域活性化への期待と有事に攻撃対象となる懸念が交錯。雇用規模と安全性の問いが目立った。(高木潤、開沼位晏)

 説明会は、日本製鉄(日鉄)瀬戸内製鉄所呉地区跡地近くの警固屋まちづくりセンターであり、周辺の警固屋、宮原地区からは115人が参加した。防衛省の担当者は、民間企業の誘致エリアや火薬庫を含む跡地のゾーニング(機能配置)を説明した。

 参加者の男性は「経済的な波及効果があり、市の発展につながる」と歓迎した。別の男性は「地元は空き家だらけ。隊員たちの移住を増やしてほしい」と訴えた。隊員の移住や民間企業の雇用によって増える人口については、防衛省の担当者は「概算でもお答えできない」とした。

 安全を案じる意見も目立った。ある男性は「防衛拠点ができると、ミサイルが飛んでくる可能性が大きくなる」と主張した。「有事の時に呉の人をどこに避難させるのか」と問う女性には、同省の担当者は「関係機関と連携して人命救助、住民避難の支援などをしっかり実施していく必要がある」と答えた。場所は示さなかった。地元の男性は火薬庫で事故発生を見据えた対策を求めた。

 参加者は高齢の男性が中心だった。複数回の説明会を求める声も上がった。警固屋地区の30代のパート女性は「関心はあるが、子どもの世話がいる時間帯なので行けなかった」と漏らした。

(2025年4月26日朝刊掲載)

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