[NPT準備委] 賢人会議提言アピール 日本政府が集会
25年4月30日
2026年のNPT再検討会議に向けた第3回準備委員会の開幕に合わせ、日本政府は28日、米ニューヨークの国連本部で、政府主導の国際賢人会議の提言を紹介する集会を開いた。外交官や非政府組織(NGO)の関係者たち約80人が参加し、岩屋毅外相は「核兵器のない世界に続く道を着実に進む道しるべになる」とアピールした。(ニューヨーク発 宮野史康)
賢人会議の委員で、米カーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ上級研究員が提言の概要を紹介。準備委のアジュマン議長に渡した。有識者たちとの討論では、核兵器保有国に核軍縮の行動計画を求める提案を評価する意見が出た。賢人会議の委員で一橋大大学院の秋山信将教授は「単独でできる取り組みを進めるという考え方だ」と解説した。
岩屋氏は終了後、記者団の取材に「提言をたたき台に議論を深め、再検討会議では成果文書の取りまとめができるよう、取り組みを強化したい」と述べた。
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「核抑止脱却」 岩屋氏の意欲に期待
日本の外相がNPT再検討会議の準備委員会に出席し、演説したのは7年ぶり3人目だ。2月に核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加見送りを決めた一方、岩屋毅外相が自らの思いで準備委への参加を決めた。初日の一般討論の1人目として、日本政府の席からよどみない英語で演説し=写真、終えると、扇子で顔をあおいだ。
昨年10月の外相就任当初、一部のNGO関係者の間で岩屋氏への期待は高かった。過去に締約国会議へのオブザーバー参加を支持する考えを示していたからだ。それだけに不参加の表明時には「禁止条約に背を向ける外務省の壁はここまで高いのか」との恨み節が聞こえた。
とはいえ岩屋氏の独自色も時折にじむ。核抑止に関し「安全保障の最終形態であってはならない」とした国際賢人会議の提言に対し、今月1日の記者会見で「現在の政策と特に齟齬(そご)のあるものではない」と明言。将来の核抑止からの脱却に意欲を示した。変節したと言われぬよう、外務省の壁を打ち破る姿を見たい。
(2025年4月30日朝刊掲載)
賢人会議の委員で、米カーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ上級研究員が提言の概要を紹介。準備委のアジュマン議長に渡した。有識者たちとの討論では、核兵器保有国に核軍縮の行動計画を求める提案を評価する意見が出た。賢人会議の委員で一橋大大学院の秋山信将教授は「単独でできる取り組みを進めるという考え方だ」と解説した。
岩屋氏は終了後、記者団の取材に「提言をたたき台に議論を深め、再検討会議では成果文書の取りまとめができるよう、取り組みを強化したい」と述べた。
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記者のつぶやき
「核抑止脱却」 岩屋氏の意欲に期待
日本の外相がNPT再検討会議の準備委員会に出席し、演説したのは7年ぶり3人目だ。2月に核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加見送りを決めた一方、岩屋毅外相が自らの思いで準備委への参加を決めた。初日の一般討論の1人目として、日本政府の席からよどみない英語で演説し=写真、終えると、扇子で顔をあおいだ。
昨年10月の外相就任当初、一部のNGO関係者の間で岩屋氏への期待は高かった。過去に締約国会議へのオブザーバー参加を支持する考えを示していたからだ。それだけに不参加の表明時には「禁止条約に背を向ける外務省の壁はここまで高いのか」との恨み節が聞こえた。
とはいえ岩屋氏の独自色も時折にじむ。核抑止に関し「安全保障の最終形態であってはならない」とした国際賢人会議の提言に対し、今月1日の記者会見で「現在の政策と特に齟齬(そご)のあるものではない」と明言。将来の核抑止からの脱却に意欲を示した。変節したと言われぬよう、外務省の壁を打ち破る姿を見たい。
(2025年4月30日朝刊掲載)