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[NPT準備委] 「対話と協調」協力訴え NYで開幕 岩屋外相が演説

 2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が28日、米ニューヨークの国連本部で開幕した。加盟約190カ国・地域の政府代表たちが5月9日まで核軍縮や不拡散の方策を議論する。岩屋毅外相が演説し、多国間主義に基づく枠組みが困難に直面する中で、NPT体制の維持、強化へ「対話と協調の精神に基づく協力」を訴える。(ニューヨーク発 宮野史康)

 準備委はガーナのハロルド・アジュマン国連常駐代表が議長を務める。一般討論で岩屋外相は、不透明な核戦力の増強や北朝鮮による核・ミサイル開発を挙げ、核軍縮への逆行を懸念。昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞に触れ「核兵器のない世界を求める声はこれまで以上に大きい」と指摘する。

 日本政府主導の国際賢人会議で、米ロ英仏中を含む核兵器保有国、非保有国の双方の委員が提言に一致した点を「分断が深まる世界にあっても、真摯(しんし)な対話と建設的な議論を通じて知恵を生み出した一つの好例」と強調。来年の再検討会議に向け、日本政府として「NPTを維持し、透明性や説明責任を高め、より良く機能させるために、最大限の取り組みを講じる」と誓う。

 準備委の開催に当たり、日本政府は賢人会議の提言を作業文書として提出した。来年の再検討会議の最終文書に盛り込むべき項目として、核軍縮の具体策を示す国別行動計画の提出▽爆発を伴う核実験の停止維持▽兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)実現に向けた高官会合の開催―を盛り込んでいる。

 準備委の一般討論は30日まで。日本被団協や平和首長会議の意見表明を挟んで、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用の議論へ続く。加盟国は、再検討会議のたたき台となる勧告の採択を目指す。NPT体制を立て直し、核軍縮の糸口を提示する内容を盛り込めるよう、知恵を絞る。

(2025年4月29日朝刊掲載)

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