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[NPT準備委] 核保有国、停滞を正当化

 NPT再検討会議の第3回準備委員会は1日、核軍縮の討議を始めた。核兵器保有国や核抑止に依存する国の代表たちは安全保障の環境整備が先決と主張し、停滞する現状を正当化。非保有国は軍縮が安全保障につながるとして対立した。(ニューヨーク発 宮野史康)

 英国は「われわれは現在の地政学的な挑戦、その重大な脅威と不安定さに向き合わなくてはいけない」と強調。「安心で安全な環境」が軍縮の前提とし「整った時に進められるよう準備に取り組む」と語った。具体策に、軍縮の透明性を高める国別報告、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始を挙げた。

 米国も「軍縮に取り組める安全保障環境づくりが重要だ」と発言。米国の「核の傘」の下にいるドイツは「核兵器のない世界の道のりは、ロシアのウクライナ侵攻によってより険しくなった」と指摘した。

 一方の非保有国では、アイルランドが「核兵器のない世界は、実現の見込みのない理想ではない。国際平和を維持するために必要だ。軍縮は安全保障の手段だ」と説いた。メキシコは、加盟国に核軍縮の交渉義務を定めたNPT第6条について「履行は条件付きでも任意でもない。停滞はNPTを不安定にする」と反発。インドネシアは「核抑止に頼る国は核兵器に依存しない安全保障を追求する責任がある」と訴えた。

(2025年5月3日朝刊掲載)

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