×

ニュース

核ごみ文献調査 請願検討 益田の経済界有志、市議会に

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定を巡り、益田市の経済界の有志が、第1段階となる「文献調査」の受け入れを市議会に求める請願を検討していることが16日、分かった。有志らは「処分場の誘致が目的ではなく、調査によって地震や津波の危険性が分かる。安全なまちづくりに生かせる」としている。

 検討しているのは市内の企業経営者9人でつくるエネルギー研究会。益田商工会議所会頭の松永和平氏も松永牧場社長として名を連ねる。2019年から自然エネルギーや電力の在り方などを研究し、中国電力島根原発(松江市)や青森県六ケ所村の一時貯蔵施設なども視察した。

 文献調査は、地下300メートルより深い岩盤に核のごみを埋める最終処分場を選ぶための最初のステップで、文献やデータを調べて火山活動、断層活動の有無などから不適格地を除く。調査に応じた自治体には国から最大20億円の交付金が出る。一方で風評被害などを懸念し、調査に反対する声もある。

 松永氏は、適地を調査する原子力発電環境整備機構(NUMO)とも調整し「手を挙げるだけでも良いとの感触を得ている」と説明。「本当に誘致するかは子や孫の時代になる。選択肢をつくっておきたい」とする。今後、商議所の総会で諮った上で、市議会に請願を提出したい考えだ。

 最終処分場の選定は文献調査に続き概要調査、精密調査の計3段階で約20年かかる。概要・精密調査は市町村長や知事の意見を聞き、反対があれば進まない。山本浩章市長は「請願の内容や議会の議論をつぶさにみて考える。重要課題で市が二分されるような事態は避けねばならない」としている。(永井友浩)

核のごみ
 原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理の際に生じた廃液をガラスと混ぜ、固めた高レベル放射性廃棄物。国は地下300メートルより深い岩盤に金属容器や粘土で覆って数万年以上埋める処分を計画するが、処分場の候補地が長年決まらず「原発はトイレなきマンション」ともいわれる。

(2025年5月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ