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広島原爆調べる ガイド本 市立大平和研究所が発行 文献・実地で学ぶノウハウ紹介

 広島市立大広島平和研究所(安佐南区)が、ガイドブック「ヒロシマ調査・研究入門」を発行した。広島原爆の被害を調べようとする人たちに向け、文献や実地で学ぶノウハウを紹介し、核問題などを巡る多様な論点も示している。

 全5章184項目のうち、特に第3章「広島を体感する」に力を入れた。原爆で多くの犠牲者を出した学校や地域、団体が毎年夏に営む慰霊祭を丁寧に解説した。研究者たちが実際に現場へ行き、撮影して執筆。市内のバーやカフェが定期的に開く証言会の情報も含め48項目で構成する。

 第2章「広島で調べる」は広島県内の公立図書館や文書館のほか、企業や団体が運営する資料室も取り上げた。他の章では文献調査の方法や広島原爆について展示する国内各地の資料館、平和や核兵器を巡る世界情勢を収めた。巻末には協力した計147団体・個人名を載せている。

 執筆の中心を担ったのは竹本真希子准教授と四條知恵准教授。2人は「広島を初めて訪れる人がどう調べたらいいか分かるよう工夫した」と話す。東京―広島の新幹線の所要時間(4時間)で読み切れる量を目標とし、約2年がかりで作成。結果として文量は増えたが、伝える側の視点や主体の多様性に気付かされたという。

 同大の創立30周年の記念事業として3月に刊行した。A5判、223ページ。1980円。(山本祐司)

(2025年5月20日朝刊掲載)

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