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2小に子ども向け平和展示 広島市 本川・袋町小に整備へ 被害状況 平易な文章で

 広島市は、中区にある被爆建物で国史跡の本川小と袋町小の両平和資料館に、子どもたちに被爆の実態が伝わりやすいテーマや内容の展示を整備する。2028年度の新装開館を目指す。全国から修学旅行生の受け入れを強めており、同じく子ども向けの展示を新設する原爆資料館(中区)を含む「3館回遊」の流れをつくりたい考え。

 本川小の資料館は爆心地から410メートル、袋町小は460メートルに立つ。ともにかつての校舎を一部解体した鉄筋造りが残り、児童が犠牲になったあの日を遺品や写真で伝える。改装では、原爆資料館より平易な文章などで被害状況を伝える展示に改める。気密性の高いケースを導入し、資料の保存も図る。本川小は周囲に校舎側とのフェンスと、トイレを新設する。

 現時点で事業費は計5億2千万円を見込み、25年度当初予算には2800万円を積んだ。基本設計を始め、26年度以降、詳しい設計や展示のリニューアルを進める。28年度に原爆資料館東館地下1階に子ども向けの展示室と学習スペースを整備する計画があり、歩調を合わせる。

 市は国の補助を受け、修学旅行生の平和学習の受け入れに力を入れている。市平和推進課は「両校の資料館を原爆資料館とセットで巡り、子どもたちに原爆被害を自分ごととして捉えてもらえるような展示の工夫をしたい」としている。

 市は両校の資料館を23年、原爆資料館の「付属展示施設」に位置付けると決定。改修方法を探ってきた。当初は25年11月のリニューアルオープンを目指したが、地元関係者との調整や国史跡への申請作業の影響でずれ込んだ。(樋口浩二)

本川小と袋町小の平和資料館
 本川小の資料館は、1928年に広島市内の公立小で初の鉄筋校舎として地上3階地下1階建てで完成。一部を解体して88年に開館した。1階と地下1階に、原爆投下で溶けた瓦や市街地の惨状を伝えるパノラマなどがある。2024年度は2万9669人が訪れた。袋町小の資料館は、37年に地上3階地下1階の鉄筋校舎として建設。被爆後に救護所となり、安否を尋ねるため壁にチョークで書いた「伝言」が99年に見つかった。02年に資料館になった。24年度の入館者は2万7816人。

(2025年5月21日朝刊掲載)

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