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米軍駐機の法的根拠曖昧 高知空港での岩国戦闘機巡り 外相「地位協定ではない」

 米軍岩国基地(岩国市)所属のステルス戦闘機F35Bの1機が高知龍馬空港(高知県南国市)に緊急着陸して42日間駐機した問題を巡り、岩屋毅外相は20日の参院外交防衛委員会で駐機の法的根拠を問われ、日米地位協定ではないと答弁した。外務省の担当者も法的根拠を示さず、日米が曖昧な運用をしている実態が浮き彫りになった。(中川雅晴)

 日米地位協定第5条では、米軍は日本の民間空港を利用することができる。岩屋氏は戦闘機の飛行中に警告灯が点灯し、危険を防ぐ緊急の予防着陸だったことを挙げ「日米地位協定の規定に当てはまる行為ではない」と述べた。

 外務省北米局の熊谷直樹審議官も予防着陸について「米軍機に限らず行える」と答弁し、「日米地位協定が根拠になる場面ではない」と繰り返した。根拠は「日米の条約、協定に基づくものではない。国内法上の根拠法は承知している限りない」と答えた。

 質問した無所属の広田一議員は「国内法も日米地位協定上も根拠がなく占有していた。由々しき問題だ」とただした。

 また、国土交通省航空局の魚谷憲官房技術審議官は答弁で「長期間の駐機は想定していない」とし、国内の空港使用に関する規定に基づく届け出書類を米側に求めていないと明らかにした。

 中谷元防衛相は4月18日の記者会見で長期間駐機する法的根拠を問われ「日米地位協定に基づいてわが国の飛行場に出入りできる」と述べていた。中谷氏は、この日の委員会では駐機の法的根拠を示さなかった。

米軍戦闘機の駐機問題
 米軍岩国基地所属のステルス戦闘機F35Bの1機が3月25日、訓練中に上空で警告表示が出たため高知龍馬空港に着陸した。戦闘機は5月5日、高知龍馬空港を離陸し、岩国基地に帰還した。42日間の駐機は、中国新聞が全国での同様の事例を調査したところ、この5年間で最長だった。

(2025年5月21日朝刊掲載)

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