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陸軍学校の日記 寄贈 遺族、広島県海田の陸自施設に

 日中戦争時、広島陸軍幼年学校(現広島市中区)に在籍した生徒、福永典夫さん(1940年に17歳で死去)の日記帳を、遺族が22日、陸上自衛隊海田市駐屯地(広島県海田町)に寄贈した。

 福永さんは旧制宇和島中(現宇和島東高)から陸軍の幹部候補を養成する幼年学校に進んだ。入学した38年4月から39年1月にかけて残した1冊の日記帳には、野営演習や剣術の訓練など、行事の内容や感想をつづる。

 福永さんは在学中の40年2月21日に病死。日記の最後のページには「胸ガ痛シ 『何デモナイ』ト思フモ何ヤラ氣(き)ニナル」(39年1月30日)との記述がある。福永さんの妹、清岡司子(つかこ)さん(2020年に91歳で死去)が大切に保管していた。

 この日は、清岡さんの娘の山形真理さん(75)=東京都三鷹市=が同駐屯地を訪れ、日記帳を顕彰館に託した。山形さんは「母と一緒に10年ほど前、幼年学校跡を訪ねたことがある。日記を託すことができて、母も安心しているのでは」と話していた。(石川昌義)

広島陸軍幼年学校
 1897年に開設。1928年に軍縮で閉校するが、36年に広島城の北(現基町高、白島小付近)に校舎を設けて再開した。主な卒業生に、32年のロサンゼルス五輪の馬術で金メダルを獲得した西竹一や、終戦時に陸軍大臣だった阿南惟幾(あなみ・これちか)がいる。

(2025年5月23日朝刊掲載)

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