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核廃絶の道筋討議 広島で国際平和シンポ

■記者 金崎由美

 来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け核兵器廃絶への道筋を探る国際平和シンポジウムが1日、広島市中区の広島国際会議場であった。

 冒頭のトークセッションには、平和市長会議(会長・秋葉忠利広島市長)の取り組みを米国でアピールしている元米海兵隊員パトリック・コフィさん(35)が登壇。米国での原爆展で被爆の実情に衝撃を受けたのが行動を始めた契機だと述べ、日米の学生とともに米大陸を横断しながら核兵器の廃絶を訴える計画を紹介した。

 パネル討論で、クリントン政権幹部だったプリンストン大のフランク・フォンヒッペル教授(71)は、オバマ政権が策定中の長期方針「核態勢の見直し」について「先制不使用を採用して核兵器の役割を限定できるかが焦点」と分析した。

 被爆国の姿勢をめぐっては、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部の片岡勝子事務総長(65)が「米国の核の傘に依存し、先制不使用宣言にも反対している」と批判。元国連事務次長の阿部信泰氏(63)は「核兵器ゼロを目指すなら国内でも米国との間でも、核の傘がなくなった後について真剣に議論すべきだ」と強調した。

 国連アジア太平洋平和軍縮センター元所長の石栗勉京都外大教授(61)は、NPT再検討会議の見通しに触れ、「前回、進展がなかった課題を真剣に再検討すべきであり、核兵器保有国の指導力が不可欠となる」と話した。

 広島市、広島平和文化センター、朝日新聞社が主催し、約450人が参加した。

(2009年8月2日朝刊掲載)

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