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シリア 平和の担い手育てる 元広島大大学院研究員・瀬谷さんNPOがCF

アサド政権崩壊 混乱懸念 対話通じ解決図る

 世界の紛争地で国際貢献に取り組む東京のNPO法人REALs(リアルズ)が、昨年12月にアサド政権が崩壊したシリアで、対話を通じた争いの解決を探る専門知識を持つ人材育成を始める。広島大大学院で研究員を務めた理事長の瀬谷ルミ子さん(48)は「和平の取り組みを後押ししたい」と意気込み、クラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。(中川雅晴)

 旧アサド政権が空爆を繰り返したシリア北西部で、若者や女性、市民団体の代表者50人を「平和の担い手」として育成する。民族や宗派で割れる紛争地で、中立な立場から対話を促して平和へと導く手法を伝える。

 育成した担い手を中心に地域の巡回活動をし、戦争によるトラウマ(心的外傷)を受ける被害者への心のケアも進める。研修開始から1年後をめどに、政府や国際社会に向けて平和に関する提言を示す計画だ。CFは6月13日までで、1千万円の資金獲得を目指す。

 瀬谷さんによると、半世紀以上続いた独裁政権の崩壊後、和平に向けた市民の機運は高まっているという。一方で大勢の難民が帰国しており、貧困を背景に土地などを巡る争いが懸念される。「安定した社会に向かうのか、新たな争いが起きるかの分岐点」と見る。

 瀬谷さんは治安改革を担当するアフガニスタン日本大使館書記官や国連職員を経て2005~06年に広島大大学院国際協力研究科の研究員を務めた。13年にリアルズ理事長に就き、市民に緊急的に食糧や衛生物資を提供する活動などを続ける。

 現地入りを予定し、「国の再建は市民が主体的に関わっていくことが大切。そのための体制づくりを支えたい」と力を込める。

(2025年5月26日朝刊掲載)

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