[被爆80年] 戸坂の「あの日」 劇で描く 地元の小中生5人 東区で31日上演
25年5月29日
平和学習での思い せりふに
広島市東区戸坂地区の小中学生5人が31日、市内の劇団員と地元の原爆の歴史をテーマにした創作劇を東区民文化センター(東蟹屋町)で披露する。戸坂の民話や史実を題材に劇を上演する戸坂公民館のプロジェクトの一環で、被爆80年に合わせて企画した。事前に平和学習に取り組み、感じた思いもせりふに乗せる。自分たちの言葉で原爆の悲惨さや平和の喜びを伝えようと練習に励んでいる。(佐々木大輔)
タイトルは「戸坂から、あの日の声を」。戸坂の子どもたちが被爆者との出会いをきっかけに旧戸坂村の「あの日」について学ぶ姿を描いた。劇は約15分。陸軍病院の分院が置かれた戸坂国民学校(現戸坂小)に市内の各地から被爆者が収容され、約600人が亡くなったことにも触れる。
劇に参加するのは、戸坂小、戸坂城山小、戸坂中の有志。演劇などを企画・制作する一般社団法人「舞台芸術制作室無色透明」(西区)のメンバーや戸坂公民館の職員を加えた計9人で裏方を含めて舞台を作る。
児童生徒は4月、戸坂地区の被爆者の体験を聞いたり、戸坂国民学校での犠牲者を悼む戸坂供養塔(戸坂桜上町)を訪ねたりした。脚本を手がけた無色透明のメンバー山田めいさん(34)は「せりふは子どもたちの平和学習の感想を基に書いた。素直な思いを届けたい」と力を込める。
戸坂中1年加登菜乃香さん(12)は「多くの人に劇を見てもらい、今の平和な世の中がどれだけありがたいか伝わればうれしい」と意気込む。上演は午後0時10分から。先立ち午前10時から、東区内の全7公民館が平和をテーマに合唱や演奏をそれぞれ披露する。無料。
(2025年5月29日朝刊掲載)