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[ヒロシマドキュメント 被爆80年] 2016年5月27日 米大統領 初の広島訪問

 2016年5月27日。オバマ米大統領が広島市を訪れた。広島、長崎に原爆を投下した米国の現職大統領が被爆地に立つのは初めて。広島の被爆者たちは、09年1月の就任に前後して訪問を求めており、7年余りを経て実現した。

 オバマ氏は三重県での主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席後、午後5時20分過ぎに立ち入り規制された平和記念公園(中区)に到着。原爆資料館東館に入り、10分滞在した。後の市の説明によれば、特設された被爆者の遺品や写真、被爆から10年後に白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんの折り鶴を見た。

 資料館を出ると、安倍晋三首相と共に歩いて原爆慰霊碑へ。碑前に花輪を手向け、数秒目を閉じた。続いて、原爆ドームを背に、日米両政府に招かれた約100人へ語りかけた。「71年前、雲一つない明るい朝、空から死が落ちてきて、世界は変わった」

 この描写をはじめ、自らこだわり修正もしたという17分の「ヒロシマ演説」。「私の国のように核を保有している国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と訴えた。静寂の中で、被爆者10人も耳を傾けた。公園の周囲には大勢の人だかりができていた。(下高充生、山下美波)

(2025年5月29日朝刊掲載)

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