[ヒロシマドキュメント 被爆80年] 2016年7月27日 核兵器禁止訴え署名集め
25年5月30日
2016年7月27日。広島の被爆者7団体の代表者たちが、原爆ドーム(広島市中区)の近くで街頭活動に立った。核兵器を禁止し廃絶する条約の締結を各国に求める署名へ協力を呼びかけた。
日本被団協が提唱し、この年に始めた「ヒバクシャ国際署名」運動の一環。国内外9人の呼びかけ人の一人で、日本被団協代表委員と広島県被団協理事長を務める当時91歳の坪井直(すなお)さんはつえを突いて参加し、マイクを握った。県被団協副理事長の箕牧(みまき)智之さん(83)=北広島町=や、もう一つの県被団協の理事長の佐久間邦彦さん(80)=西区=も署名を求めた。
核軍縮が停滞する中、オーストリアやメキシコなどの核兵器を持たない国は、広島、長崎の惨禍から自明な核兵器の非人道性に着目し、その禁止を目指す動きを強めていた。13、14年に「核兵器の非人道性に関する国際会議」をノルウェーなどで3度開催。被爆者も証言した。16年12月には国連総会で「核兵器禁止条約」の制定交渉会議の開始が決議された。
交渉会議は翌17年の3月、米ニューヨークの国連本部で始まった。核保有国も、日本政府など米国の「核の傘」の下にいる国の多くも参加しない中、日本被団協は国際署名を集約し、箕牧さんたちを派遣して、制定を後押しした。(下高充生、編集委員・水川恭輔)
(2025年5月30日朝刊掲載)
日本被団協が提唱し、この年に始めた「ヒバクシャ国際署名」運動の一環。国内外9人の呼びかけ人の一人で、日本被団協代表委員と広島県被団協理事長を務める当時91歳の坪井直(すなお)さんはつえを突いて参加し、マイクを握った。県被団協副理事長の箕牧(みまき)智之さん(83)=北広島町=や、もう一つの県被団協の理事長の佐久間邦彦さん(80)=西区=も署名を求めた。
核軍縮が停滞する中、オーストリアやメキシコなどの核兵器を持たない国は、広島、長崎の惨禍から自明な核兵器の非人道性に着目し、その禁止を目指す動きを強めていた。13、14年に「核兵器の非人道性に関する国際会議」をノルウェーなどで3度開催。被爆者も証言した。16年12月には国連総会で「核兵器禁止条約」の制定交渉会議の開始が決議された。
交渉会議は翌17年の3月、米ニューヨークの国連本部で始まった。核保有国も、日本政府など米国の「核の傘」の下にいる国の多くも参加しない中、日本被団協は国際署名を集約し、箕牧さんたちを派遣して、制定を後押しした。(下高充生、編集委員・水川恭輔)
(2025年5月30日朝刊掲載)