難波平人さん 原点のスケッチ 「原爆スラム」描いた30点 広島で初公開
25年5月30日
「自分の原点を再確認できた」。広島大名誉教授で二紀会理事を務める洋画家難波平人さん(83)=東広島市=が、大学生時代に描きためた「原爆スラム」と呼ばれていたバラック群のスケッチを、30日から広島市のギャラリーで初公開する。
中区基町の本川沿いにあったバラック群には、被爆や区画整理で住まいを失った人たちが身を寄せていたが、1970年代までに県市の再開発事業で撤去された。難波さんは広島大に在学していた63年ごろから約3年間、時間を見つけては通い、鉛筆を走らせた。手元に残る貴重なスケッチは約40点に上る。
トタンらしき屋根が連なる家々、うずたかく積まれた廃品、開発の進む高層ビル群との対比…。人物は描かれていないものの、濃い筆致の画面からは住民の息遣いがにじむ。「厳しい環境にあっても必死に生きようとする人々のひたむきさ、営みの温かさにひかれた」と難波さんは振り返る。
画壇デビューから現在に至るまで、一貫して国内外の集落を描き続けている難波さん。まなざしは常に、貧しさや困難と隣り合わせの街に向いている。昨年、知人との会話を機に思い出し、スケッチを捜した。「追いかけたいテーマは昔から同じ。これで良かったのだと改めて思えた」
展覧会は、市営基町アパート内のスペース「Unitè(ユニテ)」と「オルタナティブスペース コア」で開き、計約30点を並べる。6月8日まで。2、3、4日は休み。入場無料。(福田彩乃)
(2025年5月30日朝刊掲載)
中区基町の本川沿いにあったバラック群には、被爆や区画整理で住まいを失った人たちが身を寄せていたが、1970年代までに県市の再開発事業で撤去された。難波さんは広島大に在学していた63年ごろから約3年間、時間を見つけては通い、鉛筆を走らせた。手元に残る貴重なスケッチは約40点に上る。
トタンらしき屋根が連なる家々、うずたかく積まれた廃品、開発の進む高層ビル群との対比…。人物は描かれていないものの、濃い筆致の画面からは住民の息遣いがにじむ。「厳しい環境にあっても必死に生きようとする人々のひたむきさ、営みの温かさにひかれた」と難波さんは振り返る。
画壇デビューから現在に至るまで、一貫して国内外の集落を描き続けている難波さん。まなざしは常に、貧しさや困難と隣り合わせの街に向いている。昨年、知人との会話を機に思い出し、スケッチを捜した。「追いかけたいテーマは昔から同じ。これで良かったのだと改めて思えた」
展覧会は、市営基町アパート内のスペース「Unitè(ユニテ)」と「オルタナティブスペース コア」で開き、計約30点を並べる。6月8日まで。2、3、4日は休み。入場無料。(福田彩乃)
(2025年5月30日朝刊掲載)