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本社平和MCに報道の自由賞 日本外国特派員協会

 日本外国特派員協会(東京)は30日、優れた報道をたたえる報道の自由賞の名誉日本賞に中国新聞社ヒロシマ平和メディアセンター(平和MC)を選んだ。核兵器を巡る国際情勢が厳しさを増す中、原爆の惨禍を被害者の視点で国内外に伝えてきたと評価した。

 この日、表彰式が東京都内であり、報道の自由賞委員で米ブルームバーグ通信東京支局長のイザベル・レイノルズ氏が「原爆投下から80年で、世界は3度目の核戦争に近づいている。核兵器のもたらす現実を伝える取り組みはかつてなく重要だ」と講評。金崎由美・平和MCセンター長に、報道の自由賞の名誉日本賞の賞状を渡した。

 金崎センター長は「蓄積してきた膨大な記事は唯一無二の歴史資料だ。原爆被害の解明にこだわり、核兵器を堅持する強大な権力と向き合い続ける」とあいさつした。

 平和MCは2008年に開設。原爆・平和報道の蓄積や経験を基に被爆地のメディアとして国内外への情報提供を担ってきた。サイトは日本語に加え、核兵器保有国の英語、中国語、フランス語、ロシア語の4言語でも発信。中国新聞の記者が執筆した核兵器を巡る国内外のニュースや記事アーカイブを掲載する。

 授賞理由では、中高生のジュニアライターの取り組みにも触れ「地元の子どもが記者と一緒に記事を書き、若い世代に情報を伝えることにも努めている」とたたえた。

 協会は日本に駐在する新聞、通信社、テレビ局の特派員や写真家、個人のジャーナリストたち約1500人が加盟している。15年に「報道の自由賞」を創設し、報道の自由を促し、日本メディアの質を高めた報道機関や個人に贈っている。

「核」止める力に

岡畠鉄也中国新聞社社長の話
 2008年にヒロシマ平和メディアセンターを設置して以来、本紙掲載記事を英語などの多言語に翻訳し、公開してきました。核兵器による被害は決して過去の出来事ではありません。記者が地をはうような取材を経て知られざる原爆被害を掘り起こし、一人一人の人間の苦しみに迫りながら執筆した記事をこれからも国内外で共有していきます。ヒロシマのジャーナリズムが戦争と核兵器使用をくい止める力となるよう、努力を続けます。

(2025年5月31日朝刊掲載)

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