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連載・特集

緑地帯 黒住(國本)奏 平和を学ぶ旅④

 国の予算を軍事ではなく教育や社会福祉に使い、軍隊を持たず平和主義を貫いている国コスタリカ。そこに紛争解決と平和構築に特化した大学院の国連平和大学がある。「平和」って何? 2021年、その問いの答えを探す旅の次の行き先はコスタリカになった。

 留学が決まった時、夫には仕事を辞めてもらい、当時3歳の息子と一緒に来てもらうことにした。私たち家族の挑戦をたくさんの方々が応援してくれた一方で、「その年で留学? 旦那さんの仕事はどうするの?」といった反応もあった。

 やんわりとした非難やジャッジが飛んできた時、一瞬心をグッと固くして思う。もしこれが、夫がキャリアアップのために大学院留学をすることになって、妻子が付いて行く場合だったら、こういう反応はまだ少なかったのかもしれない。年齢、性別、妻・夫にこびりついている社会的役割や、社会がつくり上げた「普通」が無意識のうちに刷り込まれ、じわじわと私たちを抑圧しているのだ。

 特権や抑圧が生まれてしまう社会構造の中で、どうやったら「平和」と呼ばれるものをつくっていくことができるのだろう。誰しもが、ありのままの自分として、日々を暮らせることができる社会になればいいのに。そう思うなら、まずは一歩踏み出してみよう。自分が自分らしく生きることから始めてみよう。余計な力を抜いて、心をしなやかにして。さあ行こう、コスタリカへ。(平和教育ファシリテーター=広島市)

(2025年6月3日朝刊掲載)

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