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被爆者2人を欧州派遣 外務省特使任命 3ヵ国で証言へ

 外務省は4日、広島の被爆者2人を非核特使に任命し、12日から19日までの日程で欧州3カ国での証言活動に派遣すると発表した。岸田文雄前首相が昨年9月、米ニューヨークの核軍縮会合で表明していた。非核特使の海外派遣に予算を付けるのは初めて。

 ともに被爆者の広島県府中町の八幡照子さん(87)と東広島市の飯田国彦さん(82)。加えて、八幡さんの孫で英ロンドンの大学院生の八幡恵さん(22)をはじめ、被爆体験の継承に取り組む3人はユース非核特使として派遣する。

 5人は核兵器を持つ英国、フランス、核兵器を持たないポーランドの各首都で、外務省主催の現地の市民向けの証言会に出席する。八幡さんは「被爆者の苦しみや悲しみを次世代に受け継いでもらいたい」と話す。現地の若者とも交流する。

 北村俊博外務報道官は記者会見で「唯一の戦争被爆国として、被爆の実相を国際社会、将来の世代に継承していくことが人類に対する責務だ」と述べた。渡航費、宿泊費は外務省が負担する。現時点では今後の派遣予定はないという。(宮野史康)

(2025年6月5日朝刊掲載)

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