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「核抑止 虚構に過ぎない」 東京で広島県と中南米諸国セミナー

 中南米とカリブ地域での核兵器製造や実験を禁じる条約を学び、核兵器のない世界に向けた道筋を探るセミナーが9日、東京都内であった。広島県主導の官民組織へいわ創造機構ひろしま(HOPe)などが主催。核抑止を脱却する取り組みの重要性を確認した。

 トラテロルコ条約は、中南米とカリブ地域での核兵器の製造や実験、配備などを禁じている。条約に加盟するジャマイカのショーナケイ・リチャーズ駐日大使は「核抑止論ではなく、証拠と人道主義に基づいて核兵器に向き合おう」と訴えた。

 広島県の湯崎英彦知事は日本政府が重視する核抑止に対し「虚構に過ぎない。『失敗』は取り返しのつかない影響を地球に及ぼす」と指摘した。日本被団協の和田征子事務局次長(81)は「被爆者は核兵器使用の実態を伝え続ける。耳を傾け、一緒に行動してほしい」と求めた。

 HOPeは中南米・カリブ諸国駐日大使グループから被爆80年の節目に合わせて打診を受けて両者で主催した。日本駐在の外交官や専門家たち約60人が参加した。(宮野史康)

(2025年6月10日朝刊掲載)

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