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子どもの悲劇に焦点 原爆資料館 新展示議論あす初会合 東館地下1階 遺品並べる案提示

 広島市が原爆資料館(中区)の東館地下1階に新設する子ども向けの展示スペースについて、内容や改修方針を協議する有識者の検討会議が12日に始まる。同世代の惨禍の発信を重点テーマとし、被爆死した子どもの遺品の三輪車のレプリカなどを並べる案がある。(樋口浩二)

 関係者によると、新展示では子どもの共感を呼べるよう工夫する。爆心地から1・5キロの自宅前で被爆し、3歳で亡くなった鉄谷伸一ちゃんの三輪車のレプリカや、被爆10年後に白血病で12年の人生を終えた佐々木禎子さんの折り鶴などを置く案が、12日に広島国際会議場(中区)である初会合で委員に示される見通しという。

 検討会議は資料館を運営する広島平和文化センターが主導する。教育学や社会学などを専門とする大学教授、小中学校の教諭、被爆者たち11人が委員を務める。2026年度末までに計6回の会合を予定。この議論を経て、市は27年度に改修工事を始め、28年度の見学開始を目指す。

 改修するのは「会議室1」「会議室2」「特別展示室」の3室で計約500平方メートル。平和文化センターは、修学旅行などで資料館を訪れる子どもが増える一方、館内の混雑が増す現状を課題とみており、新展示で被爆の惨状や平和の尊さを伝えたい考えだ。そばに学習スペースも設ける。

 市は新展示を踏まえて、同じく子どもの犠牲を伝える本川小と袋町小(いずれも中区)の両平和資料館も展示をリニューアルする計画でいる。

(2025年6月11日朝刊掲載)

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