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[被爆80年] 平和願う「固まる折り鶴」 1000人参加目指す 八千代の国木さん 来月からワークショップ

 被爆80年に合わせて平和を願う輪を広げようと、安芸高田市八千代町下根の元美術教員、国木祐二さん(68)が、焼くと固まって陶器のようになる特殊な紙「陶紙」で作る折り鶴のワークショップを7月に始める。千羽鶴にちなんで千人の参加を目指すプロジェクトで、広島市や益田市などで開催。「折り鶴に込めた平和への思いを、陶器のように固く、変わらず持ち続けてほしい」と企画した。(梨本晶夫)

 陶紙はセラミック粉末に特殊なパルプを混ぜた素材。水に浸して柔らかくした12~13センチ四方の紙で折り鶴を作り、特殊なのりで形を整えて台紙にのせる。国木さんの工房の電気窯を使って1200度以上の高温で15時間焼き上げ、高さ約5・5センチの折り鶴の素焼きが完成する。作品はその後、自宅などに送られる。

 広島の被爆2世の国木さんは「自分にできる美術の分野を生かして平和を伝えられないか」と表現方法を模索。県立高校で美術を教えていた13年前に陶紙を知り、美術の授業に陶紙を使った折り鶴作りを取り入れた。

 再任用職員を退職後、中古の電気窯を買った。「固まる折り鶴」と名付け、広島市内で試験的にワークショップを開いたり展示したりして普及に努めている。2024年には自宅脇に工房「やきもの折り鶴」を開設。ウクライナやパレスチナ自治区ガザで戦闘が続く中、「平和の輪をさらに広げたい」と、「千人繋(つな)がる『固まる折り鶴』プロジェクト」を企画した。

 「見えるところに飾って、常に平和について考えるきっかけに」と国木さん。「陶器は大切に扱わないと壊れることもある。人を傷つける戦争についても思いを巡らせてほしい」と願う。

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 ワークショップの日程は、7月12日、湯来交流体験センター(広島市佐伯区)▽13日、Gallery&Cafe草花舎(益田市)▽19、20日、羅秀夢Books&Gallery(福山市)▽8月2日、駅舎カフェRomui(広島市安佐北区)。参加費は1600~2500円。国木さん☎090(4104)4369。

(2025年6月12日朝刊掲載)

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