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平和願うデザイン 世界的コンペ入賞 廿日市の片上さん シルバー賞

 廿日市市のグラフィックデザイナー片上直哉さん(42)が、イタリアの世界最大級のデザインコンペ「A’DESIGN AWARD(エーダッシュデザインアワード)」で、プラチナ、ゴールドに次ぐシルバー賞を受けた。受賞作は、昨年8月のヒロシマ平和ポスター展のPR用のデザインで、平和や核兵器廃絶への願いが広がるイメージを描いた。

 同アワードは、世界中から多数の応募があり、学者や専門家など53カ国の317人が審査員を務めた。今回の受賞は1824件。上位5%に当たるシルバー賞は「卓越した創造性と技術力を備える」出品者に贈られる。

 片上さんの受賞作「ヒロシマピースソング」は、1滴の水が大きな滝となる様子を表現したという。水の流れに乗せて、広島市の平和記念式典で歌われる「ひろしま平和の歌」の英訳が連なる。「喉の渇きを訴えながら亡くなった犠牲者を慰めたいとの思いもあって水をモチーフにした」と明かす。

 上下逆さまにすると、滝の絵柄が、原爆のきのこ雲の形に見える。入市被爆した祖父から80年前の惨状を伝え聞いてきた片上さん。「平和の対局にある原爆の悲劇を繰り返してはいけないという思いが作品の根底にある。ヒロシマの願いが広く伝わってほしい」と願いを込めた。(菊本孟)

(2025年6月12日朝刊掲載)

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