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[被爆80年] 被爆治療に尽力 スイス人医師 ジュノー博士 特別名誉市民 広島市が称号贈呈

 広島市は15日、被爆後の広島に大量の医薬品を届け、治療にも尽力したスイス人医師マルセル・ジュノー博士(1904~61年)に、特別名誉市民の称号を贈った。故人への贈呈は初めて。(桧山菜摘)

 6月16日の命日に合わせて、平和記念公園(中区)南側の顕彰碑前で贈呈式を開催。松井一実市長は「若い世代にも博士の人道主義の精神を継承する機会にしたい」とあいさつした。

 ジュノー博士の長男ブノワ・ジュノー氏=スイス=からメッセージも寄せられた。「世界は核軍縮の訴えに耳を傾けていない。父は名誉市民となることを誇りに思い、広島市民とともに核兵器が二度と使われないよう訴えるだろう」と読み上げられた。市によると称号記とメダルはブノワ氏に届けられる。

 赤十字国際委員会の駐日代表だったジュノー博士は、連合国軍総司令部(GHQ)に訴え、原爆投下の翌月、医薬品など計約15トンを広島に届けるとともに治療に当たった。当時の日本では入手困難な薬もあり、1万人以上の被爆者が救われたという。博士は帰国後、同委員会副総裁を務め、原爆の惨状や核兵器の非人道性を訴え続けた。

 被爆80年に合わせ、市がジュノー博士の功績をたたえるため贈った。特別名誉市民は42人目。

(2025年6月16日朝刊掲載)

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