核兵器関連の支出 24年11%増14兆円 ICAN推計「脅威続いている」
25年6月14日
非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))は13日、核兵器保有9カ国による2024年の核兵器関連支出を1002億ドル(約14兆4千億円)と推計した報告書を公表した。前年比11%増となり、保有国による争いが絶えない現状を踏まえ「核使用の脅威は続いている」と指摘した。
国別の支出額は米国の568億ドルが最多。前年から10%増え、9カ国の総額の約6割を占めた。核弾頭の開発や維持、戦略原子力潜水艦といった運搬装置の近代化などが計上された。次いで中国125億ドル、英国104億ドル、ロシア81億ドル、フランス69億ドルとなり、保有五大国が上位だった。
報告書によると、支出が多額に上る背景には、米ロッキード・マーチンなど核関連事業を請け負うごく一部の企業の動きがある。ロビー活動に資金を投じて各国の支出を助長。24年に少なくとも435億ドルを稼ぎ、約200億ドルの新規契約を得ているという。
さらに、米国やロシアとの核兵器共有で保有国以外の関連支出もあるとし「民衆の目をかいくぐった隠れた費用」と強調した。核兵器を巡る資金のサイクルを「飢餓に苦しむ人たちを救えたはずの金銭が流れている」と批判している。
各国の支出推計額は、政府や研究機関、NGOの資料から算出した。情報が乏しい中国やイスラエル、北朝鮮は軍事費の推計額の4~6%とみなした。(小林可奈)
(2025年6月14日朝刊掲載)
国別の支出額は米国の568億ドルが最多。前年から10%増え、9カ国の総額の約6割を占めた。核弾頭の開発や維持、戦略原子力潜水艦といった運搬装置の近代化などが計上された。次いで中国125億ドル、英国104億ドル、ロシア81億ドル、フランス69億ドルとなり、保有五大国が上位だった。
報告書によると、支出が多額に上る背景には、米ロッキード・マーチンなど核関連事業を請け負うごく一部の企業の動きがある。ロビー活動に資金を投じて各国の支出を助長。24年に少なくとも435億ドルを稼ぎ、約200億ドルの新規契約を得ているという。
さらに、米国やロシアとの核兵器共有で保有国以外の関連支出もあるとし「民衆の目をかいくぐった隠れた費用」と強調した。核兵器を巡る資金のサイクルを「飢餓に苦しむ人たちを救えたはずの金銭が流れている」と批判している。
各国の支出推計額は、政府や研究機関、NGOの資料から算出した。情報が乏しい中国やイスラエル、北朝鮮は軍事費の推計額の4~6%とみなした。(小林可奈)
(2025年6月14日朝刊掲載)