核拡散 リスク高まる恐れ 広島市立大の梅原教授に聞く 米イラン交渉 進展見込めず
25年6月14日
イスラエルによるイラン核関連施設の空爆は、核不拡散問題にどのような影響を及ぼすのか。広島市立大広島平和研究所の梅原季哉教授(国際関係論)に聞いた。(小林可奈)
軍事的な事態になると、外交的な解決は難しい。核開発問題を巡る米国とイランの交渉は当面、進展の見込みがなくなったのではないか。
今回の攻撃は、短期的にはイランの核開発の芽を摘めるかもしれない。しかし、「核兵器さえあれば」という考えが中東で強まる恐れがある。核拡散の誘因になり、中長期的なリスクはむしろ増えるだろう。
こうした攻撃が、イスラエルに真の平和と安全をもたらすかは疑問だ。前例を見れば、イスラエルは1981年にイラク、2007年にシリアにも核拡散を警戒して先制攻撃をした。しかし、敵対勢力はなくなるどころか増えている。
来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて、また一つ難題が増えたといえる。イスラエルが核兵器を持っている限り中東から核問題はなくならない。
(2025年6月14日朝刊掲載)
軍事的な事態になると、外交的な解決は難しい。核開発問題を巡る米国とイランの交渉は当面、進展の見込みがなくなったのではないか。
今回の攻撃は、短期的にはイランの核開発の芽を摘めるかもしれない。しかし、「核兵器さえあれば」という考えが中東で強まる恐れがある。核拡散の誘因になり、中長期的なリスクはむしろ増えるだろう。
こうした攻撃が、イスラエルに真の平和と安全をもたらすかは疑問だ。前例を見れば、イスラエルは1981年にイラク、2007年にシリアにも核拡散を警戒して先制攻撃をした。しかし、敵対勢力はなくなるどころか増えている。
来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて、また一つ難題が増えたといえる。イスラエルが核兵器を持っている限り中東から核問題はなくならない。
(2025年6月14日朝刊掲載)