平和大通り 被爆樹木などから採取 蜂蜜食べ歴史に思いを 高校生ら協力 ホテルでメニューに
25年6月14日
広島市中心部の被爆樹木が主な蜜源の「ピース ハニー(平和の蜂蜜)」を食べて、広島の歴史に思いをはせて-。中区のビル屋上で高校生らが採取した蜂蜜を使ったメニューを、近くのANAクラウンプラザホテル広島の料理店が出している。関係者は「被爆から80年、平和を築いてきたからこそ味わえる自然の恵み」として、その意義を観光客や市民に伝えたいという。(久保友美恵)
ピース ハニーは平和大通り沿いにあるフジタビル(中町)屋上の養蜂場で採れる。同ホテルでは鉄板料理店のほか、和食店や中国料理店でもこの蜂蜜を使ったデザートやドリンクを提供。瓶詰(150ミリリットル、1900円)の販売も始めた。
蜂蜜は、周辺の商店主や住民でつくる「中一区187号線活性化委員会」と世羅高農業経営科の生徒が2023年から毎年5~6月に巣箱を設けている。ここに集うミツバチは、平和大通り一帯の花を蜜源として活動。特に、ANAホテル前にある被爆樹木クロガネモチの花は蜜が豊富で、今年は計200キロの蜂蜜採取を目指している。
戦時中は一帯が建物疎開の区域で、原爆によって多くの命が奪われた。樹木も広く焼失したが、焼けた根元から新芽が生えて成長した被爆樹木が今も残る。
委員会で蜂蜜の活用策を話し合う中で「平和だからこそ、この蜂蜜が生まれた」「焼け野原から緑豊かに復興した街の歩みを伝えるきっかけになる」などの声が上がり、ANAホテルにメニュー化を依頼したという。
養蜂に参加した同高3年白土陽麻(はるま)さん(17)は「観光客にも街なかでの養蜂を知ってもらえるとうれしい」と期待していた。ホテルの鉄板料理店「愛宕」では蜂蜜をかけた水もちを考案。箕浦孝料理長は「蜂蜜メニューの説明を通じ、お客さんに今年が被爆80年であることや被爆樹木について伝えていきたい」と話していた。
(2025年6月14日朝刊掲載)
ピース ハニーは平和大通り沿いにあるフジタビル(中町)屋上の養蜂場で採れる。同ホテルでは鉄板料理店のほか、和食店や中国料理店でもこの蜂蜜を使ったデザートやドリンクを提供。瓶詰(150ミリリットル、1900円)の販売も始めた。
蜂蜜は、周辺の商店主や住民でつくる「中一区187号線活性化委員会」と世羅高農業経営科の生徒が2023年から毎年5~6月に巣箱を設けている。ここに集うミツバチは、平和大通り一帯の花を蜜源として活動。特に、ANAホテル前にある被爆樹木クロガネモチの花は蜜が豊富で、今年は計200キロの蜂蜜採取を目指している。
戦時中は一帯が建物疎開の区域で、原爆によって多くの命が奪われた。樹木も広く焼失したが、焼けた根元から新芽が生えて成長した被爆樹木が今も残る。
委員会で蜂蜜の活用策を話し合う中で「平和だからこそ、この蜂蜜が生まれた」「焼け野原から緑豊かに復興した街の歩みを伝えるきっかけになる」などの声が上がり、ANAホテルにメニュー化を依頼したという。
養蜂に参加した同高3年白土陽麻(はるま)さん(17)は「観光客にも街なかでの養蜂を知ってもらえるとうれしい」と期待していた。ホテルの鉄板料理店「愛宕」では蜂蜜をかけた水もちを考案。箕浦孝料理長は「蜂蜜メニューの説明を通じ、お客さんに今年が被爆80年であることや被爆樹木について伝えていきたい」と話していた。
(2025年6月14日朝刊掲載)