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ノーベル賞委員長 広島へ 来月で調整 日本被団協総会が閉幕

 日本被団協は19日、東京都内で開いた定期総会で、ノルウェー・ノーベル賞委員会のフリードネス委員長が7月下旬に来日すると明らかにした。27日に都内の集会で講演し、核兵器が使われないようにするための方策を議論する。広島、長崎も訪れる意向という。

 被団協によると、フリードネス氏は同委員会の事務局を務めるノーベル研究所が主催する上智大の集会に出席する。田中熙巳(てるみ)代表委員(93)も講演し、児玉三智子事務局次長(87)が被爆体験を証言する。集会前に、広島、長崎を訪問する方向で調整しているという。

 この日閉幕した定期総会では、木戸季市氏(85)=岐阜市=が事務局長を退任し、後任に浜住治郎事務局次長(79)=東京都稲城市=を選んだ。浜住さんは広島で胎内被爆した。2003年に稲城市の被爆者団体を設立し、15年から日本被団協事務局次長を務める。

 総会では、被爆80年の運動方針を採択し、被爆証言を掘り起こすと決めた。国内外での証言活動にも取り組む考えだ。被団協の今後の運動と組織の在り方に関し、来年の総会までに「一定の結論」を出すとした。出席者からは運営について被爆2世の関わりを増やすよう求める意見が相次いだ。(宮野史康)

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記者のつぶやき

運動 先細りに危機感

 「運動方針に私の気持ちが十分に入ったとはいえない」。日本被団協の田中熙巳代表委員は、定期総会後の記者会見で悔しさをにじませた。田中さんがノーベル平和賞受賞後に訴えた「証言の大運動」の具体策を打ち出せなかったからだ。

 かけ声に組織が付いてこられていない。平均年齢が85歳を超えた被爆者だけの運動に、一定の限界が来ていると感じざるを得なかった。古参の役員からは「もう自分たちで運動がつくれる組織ではないかもしれない」との嘆きも漏れる。

 総会決議が「多くの支援者、団体」との協力を打ち出した点に注目したい。10月に開く被爆80年集会では、若者団体も実行委員会に加わるという。被爆2世や若手を巻き込んで、被団協運動をどうやってつなぎとめ、強めていくか。検討は待ったなしだ。核兵器廃絶と原爆被害への国家補償の二大要求はまだ実現していない。(宮野史康)

(2025年6月20日朝刊掲載)

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