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両陛下 原爆慰霊碑に献花 戦後80年 即位後初 広島訪問 資料館を見学 被爆者らと懇談

 天皇、皇后両陛下は19日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けられた。戦後80年に合わせた戦没者慰霊の一環で、被爆地広島への訪問は即位後初めて。約2時間にわたって原爆資料館を見学し、被爆者やその記憶を語り継ぐ若者たちとも懇談した。(樋口浩二)

 両陛下は特別機で広島空港(三原市)に到着後、車列で広島市へ入った。平和記念公園では、碑前に白いユリやトルコギキョウの花束をささげ、深々と拝礼。原爆死没者を追悼した。

 続いて、米軍の原爆投下で壊滅した旧中島地区の歴史を伝える被爆遺構展示館を初めて視察した。原爆資料館の見学も2019年のリニューアル後では初めて。石田芳文館長からノーベル平和賞を受賞した日本被団協のパネル展示の説明を受けた後、館内を巡った。

 被爆10年後に白血病で12年の生涯を終えた佐々木禎子さんの折り鶴や、3歳の時に自宅前で被爆して亡くなった鉄谷伸一ちゃんの三輪車などに見入り、時折質問した。見学時間は、当初の予定を30分余り超えた。

 その後、市内在住の90代の被爆者3人と懇談。陛下は「ご苦労なさいましたね」などと声をかけた。被爆体験を後世に語り継ぐ20、30代の伝承者2人とも話した。両陛下は夜、宮内庁を通じ「広島の人々の苦難を思い、平和への思いを新たにした」との感想を公表した。

 20日は、14年8月に発生した広島土砂災害の安佐南区の被災地を訪問する。安芸区の原爆養護ホーム「矢野おりづる園」で被爆者を見舞った後、帰京する。

 両陛下は戦後80年の今年、4月に硫黄島(東京)、6月4、5日は長女愛子さまを連れて沖縄に足を運んだ。9月は長崎を訪問する。

(2025年6月20日朝刊掲載)

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