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米がイラン核施設空爆 被爆者や若者 怒りと落胆 広島 ドーム前で抗議

 米軍によるイランの核施設攻撃を受け、広島の被爆者や平和活動に取り組む若者たちは22日、米国に怒りの声を上げた。広島市中区の原爆ドーム前では緊急の抗議行動も。中東情勢が深刻さを増す中、市民にも不安が広がっている。(山本祐司、平田智士、新山創)

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)は「やられたらやり返す攻撃の応酬が続く。戦闘は長引く」と憤った。自身が代表委員を務める日本被団協は、核兵器は使ってはならないという「核のタブー」確立に貢献しノーベル平和賞を昨年受賞した。核超大国の米国の強硬手段に「私たちは核兵器廃絶を求めて訴えてきた。高まった機運が薄らいでいく」と嘆いた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)も「米国第一を掲げるトランプ政権になり、核のタブーが壊れつつある。核戦争になるリスクが高まった」と強調する。ドーム前での行動は、市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」が呼びかけ、佐久間理事長も参加。市民約20人と共に「戦争やめろ」と声を張り上げた。

 「そこまでするのかと驚き、怒りが湧いてくる」。やはり行動に加わった市民団体「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の田中美穂共同代表(30)は広島からの訴えを強める決意を示す。共同体メンバーの田浪亜央江さんも「もっと大きな声を上げ、流れを止めないといけない」と力を込める。

 市民も米国へ厳しい目を向け、今後の影響を案じた。安佐南区の会社員佐藤光憲さん(52)はトランプ大統領の方針転換に触れ「結局は武力を使った。血で血を洗うようなとんでもない暴力を繰り返す」と指摘。中区の会社員小原つぐみさん(25)は「戦争が始まりそうな雰囲気。どんな影響が広がるのか漠然とした不安がある」と口にした。

(2025年6月23日朝刊掲載)

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