気遣い励まし 温かく 両陛下 広島訪問 被災者・被爆者に力
25年6月21日
「本当に大変でしたね」―。広島市で2014年8月に起きた広島土砂災害の被災地を20日に訪問された天皇、皇后両陛下。家族を失った住民に温かい言葉をかけ、教訓を継承して防災に取り組む若者を励ました。被爆者とも2日続けて対面し、思いを寄せた。(新山創、山田祐、神田真臣)
甚大な被害を伝える安佐南区八木地区の市豪雨災害伝承館で、両陛下は被災者たち3組6人と懇談。当初予定した2倍以上の時間、耳を傾けた。
平野学さん(50)、朋美さん(48)夫妻=同区=は自宅の裏山が崩れ、当時11歳と2歳の息子2人を亡くし「経験したくなかった」などと語り、陛下から「おつらかったですね」との言葉があった。朋美さんは「温かいまなざしで、心を寄せてくださるのを感じた」と懇談後に振り返った。
祖母を失った澤本陽奈(ひな)さん(24)=岡山市北区=は大学で地域防災を学び防災士の資格を得た。父恭宏さん(54)=安佐南区=と懇談に臨むと、皇后さまから資格について触れられ「活動を認めてくださった。やってきたことは間違っていなかった」とかみしめた。
両陛下は安芸区の原爆養護ホーム「矢野おりづる園」も訪問。陛下は皇太子時代を含め今回で市内全4園に足を運んだ。
対面した10人のうち栗原明子さん(99)は、南方特別留学生だった故アブドル・ラザクさんと被爆直後に避難生活を送った経験がある。陛下から17年にラザクさんの長男と面会したことを伝えられ、栗原さんは懇談後「よく覚えていてくださった」とほほ笑んだ。
原爆で両親を失い孤児となった河野良雄さん(93)は千田町(現中区)の被爆の惨状を語り、うなずく陛下に「同情の気持ちを表していただいた」と感謝。「二度と戦争がないようお願いします」と声をかけた被爆者に、陛下は「平和が大切ですね」と返した。
(2025年6月21日朝刊掲載)
甚大な被害を伝える安佐南区八木地区の市豪雨災害伝承館で、両陛下は被災者たち3組6人と懇談。当初予定した2倍以上の時間、耳を傾けた。
平野学さん(50)、朋美さん(48)夫妻=同区=は自宅の裏山が崩れ、当時11歳と2歳の息子2人を亡くし「経験したくなかった」などと語り、陛下から「おつらかったですね」との言葉があった。朋美さんは「温かいまなざしで、心を寄せてくださるのを感じた」と懇談後に振り返った。
祖母を失った澤本陽奈(ひな)さん(24)=岡山市北区=は大学で地域防災を学び防災士の資格を得た。父恭宏さん(54)=安佐南区=と懇談に臨むと、皇后さまから資格について触れられ「活動を認めてくださった。やってきたことは間違っていなかった」とかみしめた。
両陛下は安芸区の原爆養護ホーム「矢野おりづる園」も訪問。陛下は皇太子時代を含め今回で市内全4園に足を運んだ。
対面した10人のうち栗原明子さん(99)は、南方特別留学生だった故アブドル・ラザクさんと被爆直後に避難生活を送った経験がある。陛下から17年にラザクさんの長男と面会したことを伝えられ、栗原さんは懇談後「よく覚えていてくださった」とほほ笑んだ。
原爆で両親を失い孤児となった河野良雄さん(93)は千田町(現中区)の被爆の惨状を語り、うなずく陛下に「同情の気持ちを表していただいた」と感謝。「二度と戦争がないようお願いします」と声をかけた被爆者に、陛下は「平和が大切ですね」と返した。
(2025年6月21日朝刊掲載)