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核廃絶「Yes we can」 8・6平和宣言の内容判明

■記者 滝川裕樹

 広島市の秋葉忠利市長が6日の平和記念式典で読み上げる「平和宣言」の内容が2日、分かった。核兵器の廃絶努力を明言したオバマ米大統領をあらためて支持。核兵器廃絶を世界各地で願う多数派の市民を「オバマジョリティー」と称し、力を合わせて立ち上がるよう呼び掛ける。

 宣言では、オバマ大統領が4月にプラハで行った演説に言及。大統領が核兵器を使用した唯一の国としての道義的責任を語った背景には、「大多数の世界市民の声」があると指摘し、核兵器廃絶が国際的な潮流との認識を示す。

 さらに世界の市民に活動への連帯や次世代への責任を訴える。核兵器廃絶は現実的に可能だと強調し、「私たちはできる」とのメッセージを世界に届ける。オバマ大統領が使った「Yes we can」などの表現も盛り込む方針でいる。

 また自身が会長を務め、国内外の加盟都市が3千を超えた平和市長会議が提唱する「2020ビジョン」の推進をうたう。ビジョンが掲げる2020年までの核兵器廃絶への道筋を示す「ヒロシマ・ナガサキ議定書」が、来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で採択されるよう力を尽くすと誓う。

 核実験をした北朝鮮を含め、核兵器保有国による核実験禁止条約の締結を目指す考えも表明する。

 日本政府には、原爆症認定訴訟などの司法判断をきちんと評価し、援護策を充実するよう要望。核兵器廃絶運動のリーダーとして国際社会で積極的に行動し、重要な役割を果たすべきだと迫る。

 被爆から64年目の式典には、過去最多となる56カ国の代表が参列する(7月21日時点の予定)。核兵器保有国ではロシアが10年連続で出席する一方、昨年初めて参列した中国は欠席。事実上の保有国イスラエルが初めて参列する。要人ではデスコト国連総会議長、マレーシアのマハティール元首相が原爆慰霊碑に花を手向ける。

平和宣言の骨子
 一、核兵器の廃絶努力を明言したオバマ米大統領を支持

 一、核兵器廃絶を願う多数派の市民である「オバマジョリティー」の結束と行動を呼び掛け

 一、核兵器廃絶は現実的に可能であると強調

 一、ヒロシマ・ナガサキ議定書のNPT再検討会議での採択に尽力

 一、日本政府が核兵器廃絶運動の国際的なリーダーとなるよう要請

(2009年8月3日朝刊掲載)

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