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[被爆80年] 原爆孤児の生涯 高校生に 世羅 被爆体験伝承者招く

 被爆80年の節目に合わせて、広島市の被爆体験伝承者を招いた講話が23日、世羅町本郷の世羅高であった。米ニューヨーク州から留学中の3人を含む生徒約300人が聞き、戦争の悲惨さや原爆の非人道性について認識を深めた。

 広島大病院研修医の井上つぐみさん(25)=南区=が、原爆で孤児となった川本省三さん(2022年6月に88歳で死去)の生涯を日本語と英語で語った。原爆投下3日後に入市被爆して目にした惨状をはじめ、草で作った団子を孤児が奪い合った光景などを説明した。

 被爆者であることを理由に、結婚を断られた差別体験も証言。生前「子どもたちに本当の戦争の姿を伝え、世界から争いをなくしたい」と訴えていた川本さんの気持ちを伝えた。

 「川本さんの遺志を継ごうと思った井上さんの取り組みに感動した。私も被爆体験伝承者を目指したい」と同校3年の続子(つづくし)由依さん(17)。短期留学生のメルトン・イスラエルさん(17)は「つらい体験をした被爆者が未来への希望を持って活動していたと知り、胸が熱くなった。世界中で戦争が起きている今、平和の大切さを広める必要性を訴えたい」と話していた。(藤井智康)

(2025年6月24日朝刊掲載)

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