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[被爆80年] 音楽劇 「愛の大切さ」訴え 安佐南区 さあなさん脚本 県内外の120人 初舞台で熱演

 劇団四季などで活躍した舞台俳優さあなさん=写真・広島市安佐南区=が、ミュージカル脚本「Amigo(アミーゴ)」を完成させた。地球に暮らす少年たちが、宇宙人のアミーゴと見知らぬ星を旅して、争いの絶えない地球を救う一歩を踏み出す物語。「愛の大切さを強く伝えるきっかけに」と、被爆80年に合わせて仕上げた。(菊本孟)

 大阪出身のさあなさん。結婚を機に2017年から住む広島で「街が祈りに包まれる夏」を重ねてきた。被爆者の話に耳を傾け舞台化したり、出演する子どもたちと灯籠流しに参加したり。それだけに、ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ自治区ガザでの戦闘など世界で紛争が続く現状に心を痛める。

 「科学は進歩しているのに問題だらけ。そこには『愛の欠如』がある」。被爆80年の節目に、そんなメッセージを発信したいと、約半年かけて脚本を作り上げた。

 主人公のレオたちが、異星からやって来たアミーゴに誘われて旅に出る。地球より文明の進んだ星で人々の笑顔に触れ、その源に愛があると実感。旅を基にした音楽劇を作り、平和への祈りに満ちた被爆地広島から発信すると決意する―。

 約2時間半の舞台を15日に廿日市市で初めて披露した。オーディションも経て県内外の約120人が熱演。レオの友人役を担った観音小6年島田海帆さん(11)=西区=は「見た人が、小さな優しさを積み重ねていこうと思ってくれたらうれしい」と願っていた。

 脚本は短縮版や朗読劇用も用意して、他団体に自由に使ってもらえるようにするという。さあなさんは「節目を迎えた被爆地から作品がいろんな場所へ広がり、平和の花を咲かせていってほしい」と思い描いている。問い合わせは、メールsaana.ticket@gmail.com

(2025年6月25日朝刊掲載)

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