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[被爆80年] 8・6前夜 大竹の歴史に思い 市原爆被害者友の会が催し 体験の朗読やコンサート

 大竹市原爆被害者友の会は8月5日、被爆80年の節目に合わせて、被爆体験の朗読や平和を願うコンサートなど原爆死没者の追悼イベントを同市立戸の市総合市民会館で開く。翌6日の原爆の日に毎年開く式典の前夜祭として「市民が集い、大竹の原爆被害に改めて思いを寄せる場にしたい」と願う。(和泉恵太)

 ホールでは午後6時に平和や命をテーマにしたコンサートを開始。市出身で米ニューヨークを拠点に「表現師」として活動する三宅由利子さん、市内のシンガー・ソングライター二階堂和美さんが出演する。地元の被爆者3人の体験などを読み上げる朗読会もある。

 原爆の日の式典会場になる慰霊碑「叫魂(きょうこん)」前では、小中高生が事前に平和への願いなどを書いた紙コップに発光ダイオード(LED)ライトを入れて点灯。昨年までの市内の死没者2559人に、この1年で亡くなった人数を加えた数字を浮かび上がらせる。

 市によると、市内の被爆者は今月1日時点で324人。友の会は2023年、市原爆被害者協議会から名称を変え、被爆者や被爆2世、遺族以外の一般市民にも門戸を開いた。今年4月時点の会員数は571人。近年は被爆者が亡くなるなど年に数十人のペースで減っているという。

 市史によると、80年前の8月6日には大竹、小方、玖波の各町村から千人を超す国民義勇隊や動員学徒が早朝から列車で広島市に入った。建物疎開の作業中などに原爆が投下され、多数の死者が出た。各町村の救護所では、運び込まれた多くの負傷者が息絶えた。

 被爆2世で、県被団協副理事長も務める友の会の賀屋幸治会長(72)は「叫魂の慰霊碑の存在を知らない市民も多い。追悼イベントを通じて若い世代に歴史を継承したい」と力を込める。

(2025年6月26日朝刊掲載)

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