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[被爆80年] 被爆2ヵ月後の広島 記録動画に映る竹本さん 東京の企画展でイベント

「原爆 生き残った人も苦しめた」

 東京都写真美術館(目黒区)で開催中の「被爆80年企画展 ヒロシマ1945」で公開されている日本映画社(日映)の原爆記録動画について、撮影の背景をひもとくトークイベントが29日、同館であった。3歳当時の姿が映る被爆者の竹本秀雄さん(83)=呉市=が体験を語った。

 日映は戦時中にニュース映画を製作した国策会社。研究者による調査班に撮影班が同行し、被爆から約2カ月後の広島を記録した。

 竹本さんは爆心地から約1キロで被爆。顔に傷を負い、13歳だった姉君江さんを失った。映像には兄の故定男さんに背負われているシーンが残り、竹本さんが広島赤十字病院(現広島赤十字・原爆病院)で治療を受けた際の撮影とみられる。

 司会を務めた中国放送報道制作局の小林康秀専任局次長に今の思いを聞かれ、竹本さんは「たった1発の原爆で多くの人が亡くなり、生き残った人も病気や差別に苦しんできた。原爆には絶対に反対」と力を込めた。

 日映の流れをくむ日映映像の山内隆治東京支社長は、占領期に米軍から提出を迫られながらもフィルムが守られた経緯を説明。撮影を担当したカメラマンの故鈴木喜代治さんの孫、能勢広さん(55)=相模原市=は祖父の撮影メモを披露した。

 企画展は中国、朝日、毎日の新聞3社と中国放送、共同通信社の主催で8月17日まで。(金崎由美)

(2025年6月30日朝刊掲載)

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