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[被爆80年] 惨禍の記憶 絵筆に込める 基町高生 「原爆の絵」披露

 基町高(広島市中区)の生徒たちが被爆者の体験や思いを聞いて新たな「原爆の絵」を描き、27日、校内で披露した。創作の苦労や絵筆に込めた平和への願いを語った。

 創造表現コースの15人が昨年10月から被爆者6人に聞き取りを重ね、写真なども参考にして15点の油絵を完成させた。この日は、作品の前に担当した被爆者と共に立ち、集まった約50人に解説した。

 3年本多芽依さん(18)は、13歳の時に段原中町(現南区)で被爆した才木幹夫さん(93)=中区=が見た、大やけどをした人たちが水を求める様子を表した。「やけどをどう描くか分からず、つらかった。何度も聞き詳細に教えてもらい、描き切れた」と振り返った。

 3年中原雅さん(17)は2人の幼子をがれきの下から助け出す母親の姿について「鬼の形相をどう表現するか悩んだ」。世界各地の戦禍に触れ「絵を見た人が自分に何ができるか考えるきっかけになればいい」と望んだ。

 原爆資料館(中区)の依頼で同校の歴代生徒が2007年度から描き、完成作は222点になった。最新作を含む33点は8月6~20日に広島国際会議場(同)で展示される。(樋口浩二)

(2025年6月28日朝刊掲載)

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