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広島市長、米大統領に苦言 原爆正当化発言「実相理解せず」

 広島市の松井一実市長は2日の記者会見で、米軍によるイランの核施設攻撃を広島、長崎への原爆投下を引き合いに正当化したトランプ米大統領の発言について「被爆の実相を理解していない」と苦言を呈した。核兵器がもたらす被害を認識してもらうため、被爆地への訪問を求めた。

 松井市長は「原爆がいったん使用されると、敵味方の区別なく多くの無辜(むこ)の市民の命を奪い、人類の存続すら危うくする。そういう視点に立って、ぜひ被爆地を訪問し、実相、ヒロシマの心を受け止めて発言してほしい」と訴えた。

 米政府へ抗議や撤回要請をするかどうかを問われると、先月27日に自身が会長を務める平和首長会議が出した、対話による外交努力で国家間の問題解決を求める共同アピールを挙げ「受け止めてほしい」と述べた。

 また、8月6日の平和記念式典にロシアが「広島市が政治的な態度を改めていない」などとして参加しないとした報道にも言及。市は昨年までロシアを3年連続で招待しなかったが、今年は他国同様に開催を案内する通知文を送っており、「広島の願いを政争の具にされるのを避けたいので、招待から案内に変えた。これは政治姿勢でなく平和姿勢だ」と強調した。(下高充生)

(2025年7月3日朝刊掲載)

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