[被爆80年] 被爆と差別 二重苦あらわ 広島の韓国・朝鮮人被爆者 本紙アンケート 不当な扱い 35人中20人「ある」
25年7月6日
中国新聞は被爆80年に合わせ、広島県内の韓国・朝鮮人被爆者に戦前からの苦難を尋ねるアンケートを実施した。2団体の協力で計35人が回答。うち20人が不当な扱いや差別を受けた経験が「ある」とし、学校でのいじめや就職差別を挙げた。原爆被害に加え、民族差別という二重苦を負わされた実態が浮かぶ。(編集委員・田中美千子、馬上稔子)
韓国原爆被害者対策特別委員会(権俊五(クォン・ジュノ)委員長)、県朝鮮人被爆者協議会(金鎮湖(キム・ジノ)会長)を通じ、長崎新聞、朝日新聞との3社合同アンケートに添えて別紙で5項目を問うた。回答を寄せた35人のうち朝鮮半島で生まれたのは3人で、大半は日本生まれだった。親が徴用・徴兵されたのは3人。26人が「親や自分が生活の糧を求めて」日本に渡ったほか、「父の留学のため」などの経緯があった。
差別経験は「(入学当初に)『ピカのチョーセンじゃけー』と人が寄りつかなかった」(大竹市の85歳男性)、「就職差別がひどい」(広島市東区の男性)、「日本人の嫌がる仕事をしてきた」(安佐南区の84歳女性)など多岐にわたった。一方、10人は差別「なし」を選んだ。
「今困っていること」(複数回答)は、健康問題が最多の21人。続いて、子や孫の健康問題9人▽経済的困窮8人▽差別や偏見5人―だった。
「原爆被害に誰が責任を負うべきか」(複数回答)は25人が日本政府を挙げ、米国政府は17人だった。各国政府へ「日米韓とも核兵器禁止条約を批准すべきだ」「日米は謝罪および国家補償を」「差別なく暮らせること」などと求めた。
結果を受け、金会長は「健康状態の悪化などで回答できる人が思った以上に少なくなっている。差別にも苦しんできた人たち。日米両政府は存命なうちに責任を取ってほしい」と強調。権委員長も「記憶の継承に難しさを感じる。同じ被爆者でありながら切り捨てられてきた人々の存在に、もっと目を向けてほしい」と訴えた。
(2025年7月6日朝刊掲載)
韓国原爆被害者対策特別委員会(権俊五(クォン・ジュノ)委員長)、県朝鮮人被爆者協議会(金鎮湖(キム・ジノ)会長)を通じ、長崎新聞、朝日新聞との3社合同アンケートに添えて別紙で5項目を問うた。回答を寄せた35人のうち朝鮮半島で生まれたのは3人で、大半は日本生まれだった。親が徴用・徴兵されたのは3人。26人が「親や自分が生活の糧を求めて」日本に渡ったほか、「父の留学のため」などの経緯があった。
差別経験は「(入学当初に)『ピカのチョーセンじゃけー』と人が寄りつかなかった」(大竹市の85歳男性)、「就職差別がひどい」(広島市東区の男性)、「日本人の嫌がる仕事をしてきた」(安佐南区の84歳女性)など多岐にわたった。一方、10人は差別「なし」を選んだ。
「今困っていること」(複数回答)は、健康問題が最多の21人。続いて、子や孫の健康問題9人▽経済的困窮8人▽差別や偏見5人―だった。
「原爆被害に誰が責任を負うべきか」(複数回答)は25人が日本政府を挙げ、米国政府は17人だった。各国政府へ「日米韓とも核兵器禁止条約を批准すべきだ」「日米は謝罪および国家補償を」「差別なく暮らせること」などと求めた。
結果を受け、金会長は「健康状態の悪化などで回答できる人が思った以上に少なくなっている。差別にも苦しんできた人たち。日米両政府は存命なうちに責任を取ってほしい」と強調。権委員長も「記憶の継承に難しさを感じる。同じ被爆者でありながら切り捨てられてきた人々の存在に、もっと目を向けてほしい」と訴えた。
(2025年7月6日朝刊掲載)