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[被爆80年] 広島市平和宣言文案 核廃絶 市民社会の総意に 被団協平和賞にも言及

 被爆80年の原爆の日に、広島市の平和記念式典で読み上げる節目の平和宣言。松井一実市長は、厳しい国際情勢の中で核兵器の保有を容認する考えが広がっている現状に警鐘を鳴らし、「核兵器のない世界」の実現に向け若い世代に行動を呼びかける考えだ。日本被団協のノーベル平和賞受賞にも言及する。(樋口浩二)

 4日、被爆者や有識者たちの懇談会が市役所であり、宣言の文案がおおむね了承された。ことしは、被爆者の体験や現下の世界情勢、被団協の平和賞受賞に触れつつ、核なき世界の実現を「市民社会の総意」にしていく必要性を訴える。近年の恒例となっていた海外の著名人の言葉の引用は見送る方針だ。

 複数の関係者によると、平和が脅かされている今こそ、核兵器廃絶を決して諦めない姿勢も強調。広島県被団協理事長を務めた坪井直(すなお)さんが繰り返し唱えた「ネバーギブアップ」が当てはまる。若者に対しては平和をテーマにした芸術活動や日常生活の身近な行動から平和を紡ぐ大切さを説き、広島訪問も呼びかける考えという。

 懇談会で非公開での意見交換後、松井市長は報道各社の取材に「平和な世界の実現に向けた行動を若い方々に訴えたい。平和文化を広めることが核兵器に依存する為政者の政策転換を促す」と述べた。8月上旬までに起草する。

(2025年7月5日朝刊掲載)

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