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[被爆80年] 被爆4世姉妹 観光ガイドに 中高生の福地さん 平和公園を案内 「同世代に実態伝えたい」

 被爆4世の中高生の姉妹が、平和記念公園(広島市中区)などを案内する市観光ボランティアガイド協会のガイドとしてデビューした。同協会による被爆4世のガイドは初めて。曽祖父の被爆体験を家族を通じて聞きながら育った2人は「同世代に原爆の実態を伝えたい」と誓う。(桧山菜摘)

 海田高2年福地夏穂さん(16)と広島国際学院中3年の芽依さん(15)の姉妹。初めてのガイドは6月下旬、埼玉県越谷市から訪れた中学3年の修学旅行生だった。姉妹がそれぞれ約10人を連れ、平和記念公園内を巡った。

 夏穂さんは、原爆の子の像にささげられた千羽鶴が再生紙として活用されている事例を紹介。自らの中学の卒業証書を像の前で見せながら説明した。芽依さんは、原爆の影響について要点をまとめた自作の資料を使って解説した。

 案内された森田小春さん(15)は「同年代が学び伝えている姿に刺激を受けた」と話した。ガイドを始めた理由を尋ねる生徒もいた。

 姉妹の曽祖父は爆心地から約1・5キロの広瀬北町(現中区)で被爆。姉妹は幼少の頃から祖母を通じて、大やけどを負い、傷口にうじがわいた様子などを繰り返し聞いてきた。夏穂さんは「想像すると怖かったが、原爆を知って伝えたいと思うきっかけになった」と振り返る。同協会でガイドをしている祖母の勧めもあり、決心した。

 デビューを果たした姉妹は早くも反省会。「次回はクイズを入れてみようか」などと話し合った。協会初の中学生ガイドでもある芽依さんは「誰よりも長く原爆の悲惨さを伝え続けたい」と意気込んだ。

(2025年7月8日朝刊掲載)

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