[被爆80年] 核被害 奪われた笑顔 中区で映画祭プレイベント
25年7月13日
短編「ヒロシマ 消えたかぞく」初上映 絵本を実写化 監督熱い思い
核被害などをテーマにした映画祭「GO GREENフィルムフェスティバル」(13~16日)のプレイベントが12日、広島市中区の交流スペース「kitokoi(樹と鯉)」であった。原爆投下前の家族の何げない日常を伝える短編映画「ヒロシマ 消えたかぞく」を初上映。約20人が参加し、被爆80年を迎える広島で核兵器の悲惨さや被害と向き合う意義を考えた。(鈴木大介)
映画は11分間で、2019年に刊行された同名絵本の実写版。原爆で一家6人が犠牲になった鈴木六郎さん(当時43歳)が撮った写真で構成する。生き生きした子どもの笑顔や愛情あふれる家族の暮らしを切り取る。
監督で映画祭のプロデューサーを務める伊東英朗さん(64)=松山市=は「悲惨な出来事とともに、温かい家族へのまなざしに衝撃を受けた」と映像化の動機を語った。観賞したパート従業員八鍬真知子さん(52)=大阪府茨木市=は「胸が詰まる思いだった。80年たつが、絶対に風化させてはいけない」と話した。
イベントは、映画祭を主催する任意団体「GO GREEN PROJECT」が企画。映画祭は広島市中区のJMSアステールプラザで開き、「ヒロシマ 消えたかぞく」を含めて国内外の13作を上映する。
(2025年7月13日朝刊掲載)