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[被爆80年] 8・6式典 最多124ヵ国・地域 「通知」に応え自発的参加

 広島市は11日、被爆80年の原爆の日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典に、過去最多の124カ国・地域と欧州連合(EU)の政府代表が出席を予定していると発表した。うちパレスチナ自治政府や台湾など4カ国・地域は初めて。従来の「招待」から開催を案内する「通知」に変更する中、より自発的な意思に基づく参加となる。(樋口浩二)

 市は昨年より30多い196カ国・地域に通知文を送り、11日までの回答をまとめた。招待対象を巡る論争に端を発した通知方式への変更で、各国の動向が注目されていたが、出席は最多だった2023年の111カ国を上回る見通し。「被爆80年の節目に、被爆地広島の歴史や核兵器廃絶に向けた市の取り組みに注目が高まったのではないか」とみている。

 核兵器を持つ9カ国のうち英国、フランス、インド、イスラエルが出席の意向を示す。米国は調整中で、中国と北朝鮮、パキスタンは未回答。ロシアは欠席する考えを明らかにしている。他にフィジーとモーリシャスが初参列する。

 式典は午前8時から50分間。原爆投下時刻に合わせて「平和の鐘」を突く遺族代表は被爆3世で団体職員の森山史さん(32)=安佐南区、こども代表は南観音小6年の迫優多朗さん(11)=西区=が担う。「平和への誓い」は、皆実小6年の関口千恵璃さん(11)=南区=と祇園小6年の佐々木駿さん(12)=安佐南区=が発表する。4人は11日、市役所でそろって記者会見し抱負を語った。

 遺族代表は37都道府県の各1人で昨年より5人多い。平均年齢は71・0歳で、最高齢は93歳、最年少は56歳。原爆慰霊碑前の参列席は昨年と同規模の約7千席を用意する。別に広島国際会議場にも約2200席を確保。暑さ対策として給水所は2カ所に増やす。

 昨年に続き、原爆ドーム周辺を含む公園全体を午前5時から9時まで入場規制する。全5カ所の入場口には新たに被爆者、高齢者、障害者の優先通行レーンを設ける。

(2025年7月12日朝刊掲載)

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