[被爆80年] 被爆者「被害実態触れて」 平和式典出席国・地域へ訴え 露欠席には失望
25年7月12日
広島市が被爆80年の原爆の日に営む平和記念式典には、現時点で過去最多となる124の国と地域が出席する見通しとなった。被爆者や市民は、紛争当事国を含む政府代表が集い、被爆の実態に触れる機会を歓迎する。一方、核超大国ロシアの欠席方針には失望の声も上がった。
広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長は「あちこちで戦争が起きている中、被爆地に集う意義は大きい」と期待。ただ、大使たちの広島での行動を注視する。「原爆資料館を訪れ、80年前に何が起きたか、写真や遺品から感じ取ってほしい」と訴えた。
一方、世界で核弾頭を最も多く保有するロシアは出席しない意向。市の市民局の石橋正啓次長はこの日の記者会見で「市の取り組みが伝わってないとすれば、残念だ」と受け止めた。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長は「式典までまだ時間がある。『ああそうか』で終わるのではなく、参列を求め続けてほしい」と市に注文する。
市は従来、式典へ各国の政府代表を「招待」してきた。昨年は、ウクライナに侵攻するロシアの招待を3年連続で見送る中、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルを招く姿勢に被爆者や市民団体から批判が出た。今年は開催を案内する「通知」に変更。日本政府が国家承認してないとして招待してこなかったパレスチナ自治政府の初参列につながった。
イスラエルのガザへの攻撃を批判する市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」の田浪亜央江さんは「パレスチナ側の思いを広島が受け止めてこなかった。出席は大きな歴史的な意味がある」と強調。式典当日に駐日パレスチナ常駐総代表部代表(大使)の講演を企画している。(下高充生)
(2025年7月12日朝刊掲載)
広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長は「あちこちで戦争が起きている中、被爆地に集う意義は大きい」と期待。ただ、大使たちの広島での行動を注視する。「原爆資料館を訪れ、80年前に何が起きたか、写真や遺品から感じ取ってほしい」と訴えた。
一方、世界で核弾頭を最も多く保有するロシアは出席しない意向。市の市民局の石橋正啓次長はこの日の記者会見で「市の取り組みが伝わってないとすれば、残念だ」と受け止めた。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長は「式典までまだ時間がある。『ああそうか』で終わるのではなく、参列を求め続けてほしい」と市に注文する。
市は従来、式典へ各国の政府代表を「招待」してきた。昨年は、ウクライナに侵攻するロシアの招待を3年連続で見送る中、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルを招く姿勢に被爆者や市民団体から批判が出た。今年は開催を案内する「通知」に変更。日本政府が国家承認してないとして招待してこなかったパレスチナ自治政府の初参列につながった。
イスラエルのガザへの攻撃を批判する市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」の田浪亜央江さんは「パレスチナ側の思いを広島が受け止めてこなかった。出席は大きな歴史的な意味がある」と強調。式典当日に駐日パレスチナ常駐総代表部代表(大使)の講演を企画している。(下高充生)
(2025年7月12日朝刊掲載)