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被爆死の子ども 一人一人に物語 ICAN 追悼サイトに400人超掲載 関係者がイベント 開設の意義語る

 広島と長崎で被爆死した子どもを追悼する特設サイトを非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))」が開設したのを受け、その意義などを考えるトークイベントがオンラインであった。子どもの犠牲にフォーカスした背景や経緯を踏まえ、関係者が議論した。

 ICANは昨年8月、核兵器による子どもへの影響をまとめた報告書を公表。子どもは大人に比べ放射線の影響を長期的には受けやすいなどとした。報告書を執筆し、サイト開設を主導したICANのティム・ライトさんは「世界中の人たちの原爆投下と核兵器に対する見方に変化をもたらす一助になるよう願っている」とあいさつした。

 続いて、サイトの開設に携わった3人が意見を交わした。ICANのアナリス・ガイズバートさんは、中国新聞などの記事や原爆資料館(広島市中区)の資料から情報収集した。サイトにまとめた経緯を振り返り「多くの人が知る佐々木禎子さん以外にも、犠牲になった一人一人の名前や顔、人生が世界に広く知られてほしい」と訴えた。

 協力したNPO法人ANT―Hiroshima(同)理事長の渡部朋子さんは「朝鮮半島出身者や日系米国人の子どもは名前すら記録されていない犠牲者が多くいる」とし、掘り起こしの必要性を唱えた。「長崎の証言の会」運営委員の山口響さんは「当初は犠牲者を数で表す手法も検討していた。対話を重ねて一人一人の物語に焦点を当てる形になり、良い転換だった」と強調した。

 ICANと共にイベントを主催したNGOのピースボート共同代表の畠山澄子さんは聞き役を務め、「皆さんと一緒に(特設サイトを)育てていきたい」と呼びかけた。

 サイトは、400人以上の子どもの死没状況を遺影とともに英語で掲載する。遺族からサイトやピースボートを通じ問い合わせがあれば、追加登録を検討するとしている。(藤村潤平)

特設サイトはこちら

(2025年7月15日朝刊掲載)

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