[戦後80年 県北] 平和を考える絵本 戦地からの手紙も 三次市立図書館にコーナー
25年7月17日
広島での被爆体験に基づく絵本や児童書などを集めたコーナーが、三次市立図書館(十日市東)に設けられている。戦争や平和を「自分ごと」として捉えてもらおうと同館が企画。司書や利用者が持ち寄った、親族の引き揚げ証明書や戦地からの手紙も展示している。
「被爆80年 平和を考える」と題したコーナーには、「ピカドン」「クロがいた夏」など戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える約90冊を並べる。
引き揚げ証明書は戦後の1948年発行。十日市東の山下幾子さん(75)の父正明さん(44歳で死去)が舞鶴港に上陸したことを示す。「永徳丸」「満州(現中国東北部)奉天」「乾パン六食」などの記載がある。
山下さんが今春、同市和知町の実家で見つけた。父の肩には旧ソ連(ロシア)で強制労働させられた際に負ったやけどの痕があったが、つらい体験を面白く話してくれたという。「見て知って考えることにつなげてもらえたら」と話す。
同館司書の花房紗弥さん(42)=庄原市板橋町=は、曽祖父の小早川司郎さん(75歳で死去)がフィリピン・ルソン島から家族へ送った軍事郵便のはがきを公開。ただ、宛先の三良坂町(現三次市)の家には届かず、2018年のテレビ番組の取材で存在を知った。
自らの無事を伝え家族の健康を気遣う内容。花房さんは「家族を思う気持ちはいつの時代も変わらない。戦争と平和について改めて考えるきっかけにしてもらえたら」と期待する。(向井千夏)
(2025年7月17日朝刊掲載)
「被爆80年 平和を考える」と題したコーナーには、「ピカドン」「クロがいた夏」など戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える約90冊を並べる。
引き揚げ証明書は戦後の1948年発行。十日市東の山下幾子さん(75)の父正明さん(44歳で死去)が舞鶴港に上陸したことを示す。「永徳丸」「満州(現中国東北部)奉天」「乾パン六食」などの記載がある。
山下さんが今春、同市和知町の実家で見つけた。父の肩には旧ソ連(ロシア)で強制労働させられた際に負ったやけどの痕があったが、つらい体験を面白く話してくれたという。「見て知って考えることにつなげてもらえたら」と話す。
同館司書の花房紗弥さん(42)=庄原市板橋町=は、曽祖父の小早川司郎さん(75歳で死去)がフィリピン・ルソン島から家族へ送った軍事郵便のはがきを公開。ただ、宛先の三良坂町(現三次市)の家には届かず、2018年のテレビ番組の取材で存在を知った。
自らの無事を伝え家族の健康を気遣う内容。花房さんは「家族を思う気持ちはいつの時代も変わらない。戦争と平和について改めて考えるきっかけにしてもらえたら」と期待する。(向井千夏)
(2025年7月17日朝刊掲載)