[被爆80年] 原水禁・原水協 異例の協力 60年代に分裂 共同アピールへ
25年7月18日
被団協も連名 運動強化
原水禁国民会議と日本原水協、日本被団協の3者が被爆80年の今夏、核兵器廃絶に向けた共同アピールを出す方向で最終調整していることが17日、分かった。1960年代に分裂した原水禁と原水協の協力は極めて異例。「ヒロシマ・ナガサキを受け継ぎ、広げる国民的な取り組み」を呼びかけ、例年以上に強い運動につなげる狙い。(宮野史康)
複数の関係者によると、23日にも開く記者会見で発表する。原爆による惨劇を二度と繰り返さないための行動を、幅広く国民に呼びかける内容という。被団協が昨年12月のノーベル平和賞受賞を受けて打ち出した「被爆80年の大運動」の実現に向けた一歩となる。
原水禁、原水協ともに核兵器を巡る厳しい国際情勢に危機感を抱き、あらゆる立場を超えて連携を強める必要性を意識したとみられる。記者会見は、原水禁の谷雅志事務局長、原水協の安井正和事務局長、日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員、浜住治郎事務局長が顔をそろえる方向で調整している。アピールは組織の統一には踏み込まない見込み。
原水爆禁止運動は1954年、米国のビキニ水爆実験で静岡県焼津市の漁船「第五福竜丸」が被曝(ひばく)した事件がきっかけ。2者はもともと一つの組織として、翌年8月に広島市で第1回原水爆禁止世界大会を開き、活動を始めた経緯がある。
しかし、ソ連の核実験を巡る意見の対立から、63年の第9回大会で社会党系と共産党系に分裂した。77~85年には統一大会を開いたが、その後はない。現在、原水禁と原水協は毎年8月、核兵器廃絶を目指す原水爆禁止世界大会をそれぞれ開催している。
一方、核兵器の禁止・廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」の連絡会では名を連ねている。
(2025年7月18日朝刊掲載)