原水禁・原水協 異例の協力【解説】核使用への危機感表す
25年7月18日
原水禁国民会議と日本原水協が核兵器廃絶への共同アピールを出すのは、強い危機感の表れに他ならない。なお続くロシアによるウクライナ侵攻や中東の紛争で、核兵器の使用が現実味を増したからだ。機運を醸成できるかは、どこまで具体的に連携できるかにかかっている。
組織の理念は、原水禁が「核と人類は共存できない」、原水協が「核兵器全面禁止・廃絶」を掲げる。広島、長崎での原爆被害を原点に、核兵器のない世界を目指す方針に大差はない。だが実現どころか、核兵器を巡る国際情勢は厳しく、真逆の潮流の中で被爆80年を迎える。互いに手を携える必要性は感じていたはずだ。
折しも2者のどちらにも属さずに連携してきた日本被団協が昨年、ノーベル平和賞を受賞した。世論の関心を核廃絶に向け、運動を一段進める好機だと、被団協を含めた3者の意識が一致したといえる。
足元の被爆国日本をみれば、日本政府は米国の核抑止力への依存を深めつつある。長年の分裂を超えた共同アピールが社会に強いメッセージとなるよう、さらなる協調を求めたい。(宮野史康)
(2025年7月18日朝刊掲載)
組織の理念は、原水禁が「核と人類は共存できない」、原水協が「核兵器全面禁止・廃絶」を掲げる。広島、長崎での原爆被害を原点に、核兵器のない世界を目指す方針に大差はない。だが実現どころか、核兵器を巡る国際情勢は厳しく、真逆の潮流の中で被爆80年を迎える。互いに手を携える必要性は感じていたはずだ。
折しも2者のどちらにも属さずに連携してきた日本被団協が昨年、ノーベル平和賞を受賞した。世論の関心を核廃絶に向け、運動を一段進める好機だと、被団協を含めた3者の意識が一致したといえる。
足元の被爆国日本をみれば、日本政府は米国の核抑止力への依存を深めつつある。長年の分裂を超えた共同アピールが社会に強いメッセージとなるよう、さらなる協調を求めたい。(宮野史康)
(2025年7月18日朝刊掲載)