[被爆80年] アートに平和への思い込め 被爆の記憶 つなぐ展示 川崎市岡本太郎美術館
25年7月19日
きょう開幕 基町高「原爆の絵」軸に
被爆者の体験や思いを生徒たちが聞いて描いた基町高(広島市中区)の「原爆の絵」の展示を軸に、核兵器を問う企画展が19日、川崎市の市岡本太郎美術館で開幕する。「戦後80年≪明日の神話≫次世代につなぐ 原爆×芸術」と題し、80年前の記憶をつなぐ。(堀晋也)
原爆の絵は、初回の2007年度から昨年度までの作品のうち、42点を展示する。これほど大規模な原画展は関東初。死んだ子を背負う母や川に浮かぶ遺体、倒壊した家の下敷きになった人の目といった絵が並ぶ。土方明司館長(64)は「重みが違う。被爆の記憶を次世代につなげるきっかけになれば」と述べた。
18日にあった内覧会には、被爆者の小倉桂子さん(87)=中区=が駆けつけた。原爆投下後に、放射性物質を含む「黒い雨」に打たれた自身の姿が描かれた絵を紹介。「80年前の思いを一緒に感じて」と話した。
このほか、岡本太郎が核をテーマに挑んだ代表作「明日の神話」の原画や、原爆さく裂時を描いた「瞬間」を展示。中区生まれの冨安由真さん(42)や北広島町の後藤靖香さん(43)たち、現代美術家9組の作品もある。
初日に小倉さんの講演、8月22日に基町高卒業生のトークイベントを開く。10月19日まで。美術館☎044(900)9898。
(2025年7月19日朝刊掲載)