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[被爆80年] 核廃絶へ 連帯の決意 ノーベル賞委員長 広島訪問 被爆者や若者 役割を実感

 被爆地広島を初めて訪れたノルウェー・ノーベル賞委員会のフリードネス委員長(40)。22日に広島市中区の広島国際会議場であった懇談会で向き合った被爆者や若者たちは、原爆被害の悲惨さを伝え、核兵器廃絶に協力して取り組む決意を強めた。(下高充生)

 核廃絶に取り組む非政府組織(NGO)側が企画した会には、広島の被爆者7団体の代表や若者たち約30人が参加。昨年12月にオスロであったノーベル平和賞授賞式でフリードネス氏から賞状を受け取った日本被団協代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)は真っ先に謝意を伝えた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)は「私たちの役割は非常に大きいと改めて感じた。広島から核兵器のない世界を訴え続けていく」と強調。韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五(クォン・ジュノ)委員長(76)は朝鮮半島や東南アジアの出身者も被爆した事実を説明し、「世界の人に伝えてほしい」と求めた。

 会場には基町高(中区)の生徒が被爆証言を基に描いた「原爆の絵」も展示された。3年の本多芽依さん(18)と前田悠希さん(17)が場面や被爆者の思いを解説。本多さんは「原爆について想像できないことがたくさんあるが、想像をやめることは核兵器が存在する現状の変化を諦めることだ」と説いた。

 非公開での意見交換で、フリードネス氏は惨禍の記憶を伝え続ける出席者たちの熱意に敬意を示したという。会に先立って訪れた原爆資料館(中区)へは、14歳のおいが作った折り鶴を持参。授賞式に合わせてオスロの学校で被爆者の小倉桂子さん(87)の証言を聴き、心を動かされて手がけたといい、継承の一例として広島に託した。

(2025年7月23日朝刊掲載)

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